日曜日の朝、少しゆっくりとコーヒーを飲みながら、
ふと頭に浮かんだ問いがあります。
「この家で、一番好きだった場所はどこですか？」
ダイニング、縁側、台所の窓辺、寝室の隅、物置の前の廊下。
それぞれの家に、それぞれの人だけが持つ“お気に入りの場所”があるのだと思います。
私自身にも、いくつか記憶があります。
子どものころ、階段の途中に座って、家族の声を聞いていたあの感覚。
冬の朝、陽がさし込む台所のぬくもり。
何気ないけれど、心の奥深くに残っている風景です。
不動産の売却に立ち会っていると、
「この場所が一番好きだったんです」
と、そっと教えてくださるお客様が少なくありません。
そして、その“好きだった場所”の記憶を手放すことに、
ほんの少しだけ後ろ髪を引かれているご様子も。
でも私は思うのです。
そうした記憶がある家こそ、「次の誰かに愛される家」になる可能性があるということ。
どんな建物にも、築年数にも、立地にも、価値があります。
でも“その人にとってのかけがえのない風景”こそ、
その家の本当の魅力ではないでしょうか。
今日という日、ほんの数分だけ、
「この家で好きだった場所」を思い出してみてください。
それが、次の住まいへのヒントになるかもしれません。
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